昨今では日本刀に関する書籍が数多く出版されていて、名刀の話や刀身・拵え等のビジュアルな紹介もあり読者を魅了させてくれるものがあります。
また、実物の真剣を手に取るとその重量感に多くの方が「わ~重いんだ」と、武士の魂と云われる言葉の重みにも改めて感動することが出来ます。
書籍などで得た知識では特に刃文の乱れが感心引き、殊に丁子乱れの刃文の美しさは大いに絶賛することでしょう。
刀の美しさは姿形・地鉄・刃文と見処があります。反りの少ないものより腰で反った姿は美しく、直刃より丁子乱の刃文は感動的と思うのは一般的に目が奪われるところで至極当然のことでしょう。しかし、地鉄のことになると見過ごしてしまいがちになります。
しかし、この地鉄こそが日本刀の真骨頂とも云えます。鋼を折返し鍛錬し鍛えた地鉄の肌には杢目・板目・柾・米糠肌等と称される独特の肌模様が現れます。
無地風な地鉄に華やかな丁子乱の刃文を焼いても今ひとつ味わいが足りない感じがし、また、派手さのない直刃を焼いたものであっても、杢目肌や地景が現れた地鉄の作品には、折れず曲がらずの如く打ち鍛えた結晶が美しく、より感動的になれるものです。