高野政光/平成廿五年三月日

政光の短刀

銘文:政光作/平成廿五年三月日
刃長:21.7cm
反り:なし

この短刀は、刃長が登録証と現物とに相違がありましたので、3月15日に訂正すべく東京都教育委員会で鑑定審査を受け手続きしました。現代刀でしかも短刀ですから驚きですよ。登録証では刃長が26.7cmとなっていますが、実際の寸法を測ってみると21.7cmで、登録証よりも5cm短いのです。作った本人が登録に行って、登録証を受け取ったのでしょうが、全然内容の確認をしていなかったと言うことですね。

3月27日に埼玉県教育委員会から、訂正された政光の登録証が届きました。

左側の登録証が訂正前で、右側が今回訂正された登録証です。「長さ」のみが変わっています。しかし表には訂正印がありません。裏側はと言うと。

訂正印はなく、新旧何も変わりません。
これは訂正印の押し忘れではなく、故意に押印しなかったのでしょう。平成作の現代刀でこのような記載ミスは登録証を発行する埼玉県教育委員会としては大変に恥ずかしいことですから、初めから訂正などなかった事にしようとしているのでしょうね。

この政光は、本名を高野光治と云い、少年時代は父である久心から作刀の手ほどきを受け、後に高野政賢(東京都青梅市)の弟子となります。埼玉県児玉郡児玉町で鍛刀し、日本美術刀剣保存協会新作展に数多く入選する技量の高い刀匠です。本作は、やや小振りな短刀でフクラが枯れ心となり大左を思わせるような姿形で、小板目に流れ肌交じり、地景が沈む地鉄に湾れに小互の目・小湾れが交じる刃を焼き、小沸がよくつき金筋入り、上出来となっています。

東京多摩支部の日本刀の鑑賞会へ行ってきました

東京多摩支部はコロナ禍で支部活動を2年間休止していましたが、今日、久方ぶりに会員の元気な顔を見る事ができました。13時30分から鑑賞会は始まり、出品された刀剣は古刀が5振り、新刀が3振り、新々刀が7振り、現代刀が1振りでした。鑑定会ではないので、リラックスして刀剣鑑賞を行い、最後は、各自持参した刀剣の解説などをして鑑賞会を終えました。引き続き令和4年度の定期総会を開催されました。役員改選が行われ、あたらし支部長が誕生し、新役員体制で出発することとなりました。
この日は、大野義光刀匠もいらしてました。
日本刀鑑賞会会場鑑賞内風景

刀の所持についてのお問い合わせを頂きました

刀をを所持するにはどうしたらいいのかとのお問い合わせがあります。
一般的には、所持するというよりも所有すると言った方が適切ですね。刀剣類には銃砲刀剣類登録書が交付され、その登録証のある刀剣類は所有することが出来ます。しかし、お問い合わせの中には、話を伺っているうちに、所有というよりも所持したい、自動車の中に置いておきたいとか、護身用に持っていたいのでどうしたらいいのでしょうか等があります。しかし、これは登録証があるからと言ってもだめです。登録証が交付されている刀剣類は、美術的に価値のある文化財とされたもので、主に鑑賞目的等で自宅で所有するもので、持ち歩くことは銃刀法違反となります。唯一可能なのは、刀剣類を運搬する時です。お店で購入し自宅へ持ち帰る時や、鑑賞会へ出品する時、また、鑑定審査のために会場まで運ぶ等です。その場合でも、外見から如何にもそれが刀剣であると分かるようではいけません。しっかりと、刀袋や、箱等に入れて運びます。当然銃砲刀剣類登録登録証は刀剣と共に一緒です。刀剣ような凶器となりえる刃物は、例えカッターナイフであっても、そのままの姿でポケットに入れて歩いていれば銃刀法に抵触します。
と言うことで、刀剣類は運搬する時以外は自宅に保管しておいてください。