偽銘の刀は世に数多く出回っているのが現状です。偽銘品が造られる経緯は様々でしょうが、金銭目的で行われるのが多いことでしょう。

日本刀は美術品ですから、その刀が偽銘では基本的に価値はありません。

しかしながら、それらの刀には罪は無く中には出来映えのよいものもありますので、刀匠にお願いして銘さえ消せば立派な刀となります。

多くの愛刀家の中にも、低予算で日本刀を一振り持ってみたいと思っておられる方が多くいらっしゃることでしょう。
例え偽銘であっても玉鋼を使って鍛錬し鍛えた刀身や焼刃には、自ずと日本刀の魅力を感じることが出来ます。

ですから、偽銘の刀はそれはそれ、銘を消せば立派な刀になる。銘に拘らず値段が安ければよしと割り切れば、ご自身一代で楽しむには良いと思います。

束刀などではなく、れっきとした物であれば偽銘の刀と雖も刀匠が鍛え打った物であり、間違いなく日本の財産です。
建築物においても、例えそれが違法建築物となっていても、余程でない限りは取り壊すことはないでしょう。
これも国家財産ですから。

日本刀は美術品であるため高価な商品です。初めての方にとっては、刀剣の作者や刀の出来また価格との関係等が分からないと思います。安物買いの銭失いには成りたくないとお思いでしょう。

しかし、無傷無欠点の刀を欲しがりますが、それはまず無いでしょう、刀は鉄を素延べにしたものではなく、玉鋼を折り返し鍛錬し鍛えたいわば肌物ですからその刀身には大小の相違はあっても何処かにキズが出てしまいます。

刀はキズがあっても数百年の間大切に伝えられてきたものですから、それを排除してはいけません。
刀剣の鑑賞でキズばかりを気にしていては楽しいものも嫌気が差します。そう云うことではなく、刀身以外にも刀工のことや歴史的時代背景なども併せて刀剣に親しんで行きたいものです。

刀は投機ではありません。購入した刀を手放したきは購入額の半値になった等の話も耳にします。
刀を家宝として子々孫々に伝えるのであれば別ですが、自分一代が楽しむのであれば、多少キズがあったとしても安価で楽しめる刀をお求めになるのも一つの選択肢であると思います。