軍刀にも魅力はある

最近軍刀の良い物を入手しました、二唐の刀です。二唐は父の義信と、その子国俊は軍刀鍛冶として活躍をしていました。戦後、国俊は再び刀匠の道を歩み、無鑑査と刀匠となり、現代刀匠の名人となっています。

軍刀コレクターの間で好まれるものは、九四式などの軍刀拵えと刀身が一体になったものが大半です。裏を返せば軍刀と云っても刀身のみでは興味が無いと云うことでしょう。
確かに軍刀の刀身のみ取ってみれば、中には鍛錬をしていない素延べしただけの刀の様な物もあり、美術的に云っても作刀方法から云っても価値の低い刀が存在していることも事実です。勿論、無銘の刀などは論外です。
しかし、軍刀は折れず曲がらず斬れることが大前提の刀であることから、中でも陸軍などの厳しい試験に合格した刀は素晴らしいものであることは間違いないと思います。
それから比べると果たして現在製作されている所謂現代刀は当時の軍刀に勝る物でしょうか。見た目は華やかに如何にも美術品らしいですが、刀本来の折れず曲がらず斬れると云う基本的なことは大丈夫でしょうか。恐らく殆どが荒試しなどのような荒っぽい試験をすることはないでしょう。ややもすると民芸品などと思われてはなりません。
軍刀の中でミリタリー規格を満足する刀には良い物があります。やはり一般の軍刀とは違いがあります。
姿形では一般のものは、元先の幅差が開き中鋒でふくらの張るものが多く見られ、殆どの中心には年紀を切ったものはありません。
よいものは身幅広く元先の幅差がさまで開かず、鋒が延びごころの姿をしています。また、中心の裏には必ず年紀を切り添えています。また、上手と云われる刀工たちは江戸時代から続く刀鍛冶でもあり、鎌倉時代の刀を範としたと思われる直刃を上手に焼いています。
ですから、こうした美術的にも価値のある軍刀にもっと光を当てたいものです。