日本刀は鉄製品であるため、手入れを怠ると錆の発生原因となります。美術的価値を保つために適切にお手入れをしましょう。また刀の保管についても注意が必要です。
【柄から刀身の抜き方】
先ず、白鞘に収まった状態で目釘を抜きます。
次ぎに、鞘を払い(抜いて)左手で柄を持ち刀を立て、刃を外側に向け右斜めにします。
次ぎに、右手を拳にして、柄を持っている左手のくるぶし辺りを叩いて刀身を柄かから浮き上がらせて抜きます。
【 刀油につて】
◆刀のお手入れは定期的に(1ヶ月~2ヶ月間隔)丁子油を塗布します。
刀身の古い油を柔らかいパルプ100%のティッシュペーパーで拭いとります。近年では打ち粉の代用として油汚れを拭き取るクリーナークロスがよく使われ、古い油を除去します。そして古い油を取ったら新しい丁子油を柔らかい布などに染みこませて刀身全体に薄く塗布します。
また、古い油が固まってしまっている場合は無水アルコールで拭くと取れます。
【 サビについて】
◆軽微な白錆でしたら打ち粉を打って拭うと取れる場合があります。但し、力を入れてゴシゴシとしつこく繰り返し行ったり、品質の悪い打ち粉を使うとヒケ傷がつきますので注意が必要です。
◆刃先などの少しの錆は、研磨剤の入っていないメタルクリーナーを綿棒の先に少しつけて、サビの部分を軽く拭くとサビは落ちます(赤錆に有効です)。その場合、研ぎ師が化粧研ぎを施した部分がテカルので最小限の範囲にします。
◆刀の棟や、鎬筋などにつくサビは鞘に当たっている可能性があり、一度サビを除去しても再発する場合があります。この場合は鞘の修理も必要となる場合があります。
【ヒケ傷への注意】
ヒケとは、刀身の油を拭うときに、拭い布や拭い紙に硬いゴミやホコリなどが付着していた場合、また刀身に塵が付着している場合等、これらに気付かず刀身を拭ってしまうと筋状に擦れ痕がついてしまう傷を云います。
当然ながら物や紙を斬っただけでもヒケは付きます。刀身の油を拭うとき、また油を引くときはくれぐれも注意しましょう。