柄と鞘がピタリと合っている立派な拵えです。オリジナルの拵えはここが勘所です。
刀剣は武士の表道具であり、武士の身分を示す拵えには大変美しく芸術性の高い物が多くあります。しかしながら現在見受けられる幕藩時代に作られた古い拵えの中には、刀身と拵えが合致し制作当時の姿であるとは限らず、当初の刀身から拵えが遊離し、後に別の刀身を合わせたものがよく見受けられます。その多くは元々合わない物を合わせるために、鞘を削ったり、柄に木片を詰めたりしてもガタつきがあったり、また柄と鞘を別々なもので合わせたりして見栄えのよくないものもあり、こうした拵えを合わせ物と呼びます。
鞘の鯉口と柄の中心がズレている下手な合わせ物に注意。
中心(なかご)と柄の目釘孔を無理に合わせたため柄の中心とハバキの中心が合っていない、この様なものの多くは柄と刀身にガタのある場合があります。
合わせ物の中にも上手く合わせてあるものもあり一概に悪いとは云えませんが、中には下手に合わせた物もあるので注意が必要です。また、合わせ物には柄と鞘が揃っていて刀身を合わせるものと、柄と鞘が別々な物を持ってきて刀身を合わせるものとがあります。
ではその善し悪しを見る方法は、まず、鞘に収まった状態で拵えを真横(指表)から見て鞘の鯉口と柄の縁が鍔を介して中心が合っているかを見ます。中心が合っていればまず問題は無いでしょう。中心がずれている場合は殆どが下手な合わせ方をしたもので、鞘から刀身を抜いてみると柄とハバキの中心がズレています。こうした物は大方が目釘孔を合わせるだけのため柄と刀身がしっくりせずガタつきがあります。居合刀として使用する場合、最悪は柄を作り直すことになるので購入の際はよく確認しましょう。