刀剣会の展望と課題

近年の刀剣を趣味とする人工は右肩下がりを続けているのが現状で寂しいかぎりです。
その要因とし考えられる一つには、嘗ての刀剣ブームに乗って続けてきた愛刀家が高齢となり引退しているからではないでしょうか。
刀剣の価格は下落し一昔前の半値位まで下がり、購入するには良い環境となっていると思います。
しかし、若手の人達の間ではIT機器の発達に伴い、趣味趣向に変化が出てきたのでしょうか、また、草食系男子などと云って如何にも刀には縁のない人々が増えてきたような気さえします。
愛刀家二世とでも云いましょうか、親が刀好きであれば当然刀はある程度蒐集し所有しているのですから、その子は敢えて刀を購入することもなく親から相続すればよく高額な出費をしないですむわけです。ところが、この二世がなかなか育たない。これは親の責任と云う訳にもいかず、難しいところです。

スポーツの世界では日本の女性達の活躍が目覚ましく輝いている昨今、世上では刀剣女子などと云って女性の日本刀への感心が高くなっており、男性だけの世界であったような刀剣の世界まで女性の進出が広まってきています。
博物館や美術館、また、刀剣の鑑賞会などで直接、間接に刀を眺めていても、それは一時の娯楽といった感じではないでしょうか。末永く刀剣を趣味とするには、やはり、手元に刀を置き、その刀を通して勉強して行く中でこそ刀への感心が深まって行くのであろうと思います。

一方、刀剣人工の減少に歯止めをかけようと、それぞれの刀剣会では様々な努力をしていることでしょう。
刀剣は他の趣味とは異なり、取り扱いには危険を伴うので、不特定多数の人を相手に新規の勧誘にはリスクが付きます。
新規の入会には現会員の推薦や、会長との面接を受けたうえで等の制約があるのでは新会員になるためのハードルが高いのでしょう。
そもそも、刀が好きだと云う人は、世間を憚るような向きがあり個人の間では横の繋がりはあまりなく情報の入手が容易にできないでしょう。
最近ではインターネットを活用した会員の募集が様々な分野で広がりを見せています。同様に刀剣を趣味とする会でも、刀に興味を持っている人達を集めその中から新会員へと導いていく事とを考えていく必要があるでしょう。
特殊であるが故のリスクにどう対処するのか、縛りに何をするのか、また、その危機管理はどうあるべきなどが新会員の獲得の上で一層問われることになります。

また、会の運営面でも、会員相互の刀剣鑑賞会では、会員各自が刀を持参し皆で鑑賞しあうことを行ってきましたが、名刀を多く持っている会員も高齢となってきます。若い方が名刀を持つことは、金銭的にも仲々容易いことではないでしょう。
刀剣の鑑賞会に参加する人は、自分では持てない名品を、同じ会員の方の行為で拝見させて頂けることが楽しみであり、勉強にもなり、入会している意味を見出せます。高齢化が進みこうした状況を長く続かせて行くことが難しくなって来ると、結果、名刀を多く扱う刀剣業者に依存する会となってしまう感が否めません。