中国人の軍刀バイヤーが望む軍刀は

将官軍刀
中国人の軍刀バイヤーが来店しました。軍刀を集めているようで、靖国刀で海軍軍刀拵えに入った「武憲」の刀を買っていきました。
中国では軍刀拵えに入った靖国刀に人気があるようで、他の刀匠の軍刀にはあまり興味がないようです。
その靖国刀の中でも、師匠格の刀匠でないと意味が無く、弟子となっているような刀匠は人気が無く欲しくないと云っています。また、九八式軍刀も有りふれていて興味がないようです。
彼等が欲しがっている物では、佩環が二個ある陸軍九四式軍刀や将官刀、そして、靖国刀では「靖広」「寿広」「靖徳」「武徳」等の刀匠物です。
また、海軍の菊水刀も望んでおり、「正忠」「正孝」「正直」等の名を挙げています。しかし、これらは我々でも滅多に見ない物ばかりです。それ故に、彼等も欲しがるとも云えるのでしょう。
しかし、将官刀などが多数中国に流出しようものなら、まるで日本は中国に戦争で負けたようにも思われることになるのでしょうから、印象が良くないのであまり望ましいことではない気がします。それでも、日本人が買い支えられない状況では致し方のないことです。

居合用現代刀の相場は

先日、ある刀剣鑑賞会に参加した時のことですが、刀鍛冶の方とお話しをする機会がありました。話しとは、注文による居合刀の作刀の事ので、いま、居合刀を注文製作したら幾らが相場なのかということです。
結論から言うと、居合刀を注文製作した場合、2尺3寸の刀が打ち下ろしで20万円が相場だそうです。
そこから、刀身の研ぎ代、ハバキ代、打刀拵え製作費等を込みにすると完成品として40万円と言うことです。ですが、もし刀身に傷が出ていたら返品されてしまうのだそうです。
打ち下ろし後の研ぎで傷がでたら返品ですからねー、傷が出てしまったら安値で刀剣業者に流すしかなく、結構きついですと言っていました。
もっとも、打ち下ろしの刀で契約するなどしたら品質保証が無しのようになるので、ある意味で無責任な注文製作と言われてしまうことにもなりかねません。
刀は肌物、傷が出るのは当たり前などと言うようでは、自ら刀工としての未熟さをさらけ出している事に他ならず、三流と言われてしまいますよね。
現実問題として、刀匠が製作できる刀の数は月に2振りまでですから、炭代、材料費、設備の減価償却等を考えれば一振り20万円では生活して行くには大変そうです。
昨今の刀剣価格の下落状況では古い刀が安いため、現代刀匠に新たに刀の製作を依頼し居合刀を注文製作するよりも、中古の居合刀を購入した方が格安となっているので、値段を下げて対応するしかないのが現状のようです。
作刀の技術を向上させるには数多く打つしかなく、我慢と修練の道です。