今日は奥多摩美術刀剣保存会の鑑賞会です。外は天気もよく杉花粉が盛んに飛び交う中での開催です。本日の参加者は14名で、段々と参加人数が少なくなっていくようで寂しいです。鑑賞会そのものもややもすればマンネリになってしまいがちです。
今日の鑑賞刀は15振りあり、特に新々刀が多く、固山宗次・宗平・加藤綱俊の天保打ち、また、左行秀の初期作(天保十一年紀)と晩年作(明治三年紀)、高橋長信の晩年作(明治3年紀)など鑑賞しましたが、晩年になると明治と云う刀の必要性が無くなっていく背景の中で作品は穏やかになり、地鉄や刃文に面白味がなくなってくるようです。
また、珍しいものでは、二王清忠の新々刀期と思われるものや、秋元昭友の豪壮な刀と、清心子正行の短刀も出ました。鑑賞会の終了後は懇親会で更に盛り上がります。
鑑賞風景 鑑賞中です
懇親会風景 刀剣談義で盛り上がります
月別: 2016年3月
韓国刀の拵
韓国の刀の拵えを紹介します。
この画像に見る拵えは、日本刀の太刀拵と打刀拵の折衷を模したような造りをしていますが、日本刀の拵えに見る鞘の塗りや金物の彫刻など芸術性が感じられません。実用本位であるためでしょうか、粗末で品位に欠ける拵えと云えます。
この拵えを見る限りでは日本刀の拵えを参考にしていることが窺い知れますので、もっと細部を拡大して見ていきましょう。
拵え全長:87cm
柄長:17.6cm
金具:総真鍮製
鞘:黒塗り
柄は日本の打刀の柄巻である捻り巻を真似たようですが、柄には鮫革ではなく短冊の革を貼り、目貫を据えず柄巻きは革を捻り巻にしています。しかし、菱を作る為の巻き方では捻りの上下の交差が不順で統一性がなく、美意識がなく巻き方が雑のようです。
柄長は短く片手で握るようになっています。
また、口金物は真鍮製で真鍮の釘一本で固定している。
冑金に相当する金物は彫物や象嵌はありません。ただ、素赤を切り抜き張り合わせているようです。
足金物と山形金物に相当する金物は鋲で止めいて簡単に出来ています。
石突金物に相当する金具は真鍮製で、表裏に真鍮釘2本づつで留めています。
鍔は日本の打刀拵に付くものに似ていて、真鍮地に唐草文でです。耳は土手耳になっています。しかし、切羽を使用したか分かりませんが日本の鍔に見る切羽台はありません。
こうして見ると、この拵えは明らかに日本刀の拵えを参考にして製作されたものであることが分かります。そこには文化の違いが現れており、日本が韓国の拵えを真似したなどと云うことは当たらないことが云えます。また、これは逆で、韓国が日本の拵えを真似したように思われます。