近年、刀の販売では拵が付いているものに人気が集中することもあり、特に価格の安い物には拵がついて無いと、販売が厳しい状況となっています。
特に、戦時中作られた軍刀で、軍刀外装の無い刀身は刃長が短めのこともあり、打刀拵が必要です。
安価な刀身には安価な拵が必要となって来るのが道理です。縁・頭・目貫・鍔と云った金具から、柄・鞘に至るまで全てがコストダウンの対象です。
これには、模造刀の刀身を使った居合刀の拵と同等な造りがあります。
金具は時代の物は使わず量産品の新物を使い、鞘の塗りは漆でなくアクリル塗料を使用することや、柄に巻く柄糸は正絹ではなく木綿を使ったりもします。
特に柄の構造では、本造りの場合は中心(なかご)の表裏を、柄木を合わせる作り方になりますが、模造刀用の場合は刃方と棟方とに分けて作り、これを合わせる作り方である処に大きな違いがあります。この方法は、恐らく機械加工が容易であるからではないかと思います。
こうしてコストダウンを行い安価を実現しています。
最上作の様な高価な刀は、刀自体で価値があり、刀身を楽しむことが出来ますが、寧ろ、安価な刀に拵を付けることでその付加価値は大きく上がり、更に侍文化を味わえる楽しさを実感する事が出来るのです。