新型コロナウィルスを日本刀で斬る

何時終わるか分からない新型コロナウィルス感染症拡大防止の日々が続いています。休日は不要の外出はしないようにと、家に留まっていることを東京都からも強い要請があります。刀好きの方などは、刀を穴のあくほど観て、新たな発見をした、などと云っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。兎に角、休日は自宅で手持ちの刀をじっくり鑑賞して過ごしていきましょう。
業者の刀剣市場では、開催している会もあれば、休会となっている会もあります。開催をしていても会場までを公共交通機関を利用しなければならない場合では、新型コロナウィルス感染症拡大防止の観点から欠席せざるを得ない状況です。そのような状況下でもあり、刀剣の新入荷も難しいものとなっています。新型コロナウィルスを一刀両断ともいかないでしょから、しばらくの間は耐え忍ぶことにしています。

生ぶ品が欲しいのです

生ぶ品が欲しい。古物を扱う業者は生ぶ品を欲しがります。勿論日本刀の販売業者も同じ事です。
生ぶ品とは長く一般家庭にあった物を、そこから掘り出してきたものであって、初めて業者市場に出される物です。
古物の多くは業者間で取引されていて、Aの市場で買ったB業者はCの市場で売り、Cの市場で買ったD業者は別の市場で売ると言った具合で、市場を変えながら業者から別の業者へと渡り歩くようなものが多くあります。
古物の業界は広くありませんから、何処の業者市場へ行っても、顔ぶれが同じような場合があるのですから、あちこちの市場で同じ物が出てくれば直ぐにわかるのです。刀剣などは刀剣市場よりも寧ろ道具市場の方が生ぶ品が出やすいのではないかと言うことも考えらるわけです。
そこで市場に出回っていない、言わば古くて新鮮な物ですが、今となっては旧家かからの蔵出しなどは、出尽くし殆どないため、長年の愛好であった方の親族が遺品整理等で出される物がそれに準ずることになります。ですから古美術品の買取を大々的に宣伝する事が必要となってきます。
現代はネット社会です。オークションで落札した品を、落札した本人が再びオークションに出品するなどの行為が頻繁に行われている現状の中、如何に世間に出回って居ない物で、ユーザーに喜んで頂ける品を発掘するのかが課題となっています。

特別保存刀剣鑑定書の権威は下がったのでしょうか

日本美術刀剣保存協会で審査発行している特別保存刀剣鑑定書の審査基準が下がったのでしょうか、近頃はこんな刀が特別保存になるのかと、思うようなものがあります。
過去には、昭和四十年ころから発行した特別貴重刀剣認定書なるものを乱発し、その結果、特別貴重刀剣認定書の信頼性が失われることになりました。
信頼を失墜させた日本美術刀剣保存協会は、それに替わる保存・特別刀剣鑑定書を発行することになりました。これが日本美術刀剣保存協会にとって実に大きなプラス効果をもたらしました。何と言っても、鑑定審査料の二重取りのようなもので、大きな利益をもたらすことになりました。少々非難されようが屁の河童と云ったところでしょうか。
今、この鑑定書になってから三十有余年になり、大方の刀は出尽くしたでしょうから、審査基準を下げて鑑定料を稼ぐ必要に迫られたか知りませんが、特別保存鑑定書を乱発しているのではないと、とれるように思われます。
他の刀の販売業者も言ってました。やたらと特別保存刀剣に合格する刀があるので、特別保存刀剣の権威が下がっているよなことになり、市場で売るにも値が下がって困ると。
嘗ての甲種特別貴重刀剣のように、重要刀剣と特別保存刀剣の間に、もう一つ設ける日が来るのでしょうか。

刀の買取値段や評価が上がるもの

刀の趣味は一代限りと云われます。年齢と共に二尺三寸の刀から一尺の短刀へと好みは移っていきますが、何れ処分を考える時は来るものです。充分に楽しんだ後は、未練なく次の愛刀家に継いで頂きたいと願います。
大切にしてきた愛刀の処分を家族に任せるようでは、死んでも死にきれませんね。また、危険な物を残されても家族にとっては迷惑となるでしょう。
千年の命を持つ日本刀に、貴方はその歴史のひとコマを確かに刻んだのです。そして、来世に再会を願って…。
買取の正確な査定を行うには現物を確認することが必要となります。素人目で良い刀と思ってもプロが見れば大したものではない場合や、また、その逆もあります。まずはお店と連絡をとりましょう。

買取の値段や評価が上がる刀は
1,ある鑑定書が付いている場合です。それは、日本美術刀剣保存協会が鑑定した新しい鑑定書等で、保存刀剣鑑定書・特別保存刀剣鑑定書・重要刀剣指定書等です。この保存刀剣鑑定書以上が付いていると言うことは、銘の真贋は元より在銘・無銘に関わらず、刀の最大の欠点である刃切れが無いことです。その他の鑑定書の場合では余り評価されない場合があります。
2,在銘の生ぶ中心(なかご)で目釘孔は一つがいい。古来より、「中心(なかご)千両」と云われてきている程に大事であり、手で握る部分の中心(なかご)には評価を大きく左右するものがあります。銘の有無や真贋を初め、中心の尻を切って磨上げしているものや、区を送っているもの、また、目釘孔が二個三個とあるものより、要するに製作当時のままであることが大事となるのです。また、錆び色は良いか、朽ち込みはないかなども見られます。
3,刀の長さは、刃長が二尺三寸(69.7cm)以上のものは評価が上がります。江戸時代より刀の長さは標準として二尺三寸が規定されきたことによるもので、これより短くなると評価は下がり、二尺一寸を割ると激安となります。
4,刀身は綺麗に研磨されていて鍛え傷や刃こぼれ、錆び等が無いことです。発生してしまった錆びを取るには研ぎ師に依頼するしかなく、その値段は約8,000円/一寸(3cm)の単価となります。また、錆の中でも黒色や蜘蛛の巣状の錆は深く浸透するため重欠点となります。また、鍛え傷が出ていると美観を損ねるため評価は下がってしまいます。また、傷の出た場所により修理不可能で重欠点にもなります。更には、白鞘まで作り直すことにもなります。小さな錆びでも研ぎを背負っている場合の評価は下がります。
5,外観が健全な刀身であることです。製作当時から数百年経っていますので、その間に何度も刀身が研がれて来たものがあります。これらは、長年の間の研磨により刀身が痩せ細ってしまっています。要するに、あまり大切にされてなく、酷使されてきた刀と云うことです。
6,刃紋は乱れているものが評価は高くなります。刃紋は人により好みに違いがありますが、一般的には真っ直ぐな直刃と呼ばれる刃紋よりも、波を打ったように乱れた刃紋が好まれるのです。
7,外装は打刀拵が付いているものがいいです。嘗ては刀は白鞘に入っただけでも売れていましたが、現在では、外国人が拘るような外装、所謂打刀拵が付いているものが日本人の間でも好まれるように変化してきました。白鞘だけでの販売は難しい時代なのです。
実際に刀を査定するには、まず、その刀の刀工(製作者)の位で大きく左右されます。刀には昔から位があり評価されて来ており、またランク分けされていて、最上作・上々作・上作・中上作等に区分されています。ですから、大凡の時価でその刀工の最高出来の値段があり、そこから上述した事項を減点方式で行っていくことになります。それらの値段は実売価格ではなく、業者間の取引値において算出されるものです。

10万円代で買える刀はありますか

最近、海外のお客さんから20万円以下の刀、所謂10万円代で買える刀は無いかとのお問い合わせが何件かありました。
お問い合わせの背景には、オークションでの日本刀落札相場から来た価格を言っているものと思われます。しかし、2尺以上の長さがある刀で、美術刀剣と言える物には10万円代で買える刀は一般的には刀剣販売店にはまず無いです。その価格帯で買える刀としたら、欠点のあるものです。例えば、刀身に錆びが多く発生しているものや、大きめの鍛え傷が出ている、また、研ぎ疲れがひどく痩せ細って芯鉄が出ている等、そう言った類の見た目に美しくない刀身が多いのではないでしょうか。従って、保存刀鑑定書が付いているものはまずありません。そうした現状の中、例外的に特価で出している物には昭和刀や、短寸の現代刀などがありますが、仕入でも努力を行っています。
刀の地鉄の良し悪しを理解するには、良い刀を見ないと分からないものです。しかし、販売店では低価格帯の刀を探している人には良い物は見せたくないと思っている事があるかも知れません。
低価格の刀を求める場合は、初めて日本刀を買う人が考えられますが、初めてであるが故、良い物とそうでない物との区別や違いが分からないのでしょう。寧ろ製作された時代が古い方がよいと言ったことなど、特に外国人の場合は多いと考えられます。
では、10万円代で買えるそこそこの物が有りますか、と聞かれれば、脇差があります。
脇差しであれば保存刀剣鑑定書が付いて、10万円代後半で買える物があります。
安くはなったとは言え、美術刀剣は高価な物です。まずは脇差しから初めてみては如何ですか。