軍刀と云うと陸軍の軍刀を一般的にイメージすることでしょう。
折れず曲がらず良く斬れる日本刀と云えども、刀は手作りであり、刀匠によって鍛えの方法も若干違いがあることでしょう。しかし、軍が使用するとなると刀の品質、所謂切れ味や強度に刀や刀匠毎にバラツキがあっては問題となります。
軍刀には古式の本鍛錬刀から素延刀までありその品質は一様ではありません。また、販売に於いても陸軍造兵廠へ納入するものや、一般に市販されるものもあります。
陸軍受命刀匠とは、各刀工が日本刀を二振り製作し、それを陸軍造兵廠へ送り特殊試験を受け、それに合格すれば陸軍受命刀匠の認定を受けられる訳です。この金看板が有ると無いでは販売において大きな影響があることでしょう。
しかし、この陸軍受命刀匠に合格したと云っても、チャンピオン品二振りを作り提出すればよいわけですから、数多く作刀する中でその品質を保ち続けることに心配が残ります。
要するに、軍刀と云っても優秀な刀もあれば質の悪い刀もあることです。
そこで一定の品質を保った軍刀となると、陸軍造兵廠へ納入し、試験に合格した刀となるのです。所謂、陸軍制式現代鍛錬刀なるものです。
この場合、中心の仕立ても制約があり、表に作者の銘、裏に年紀を必ずいれます。
試験では、外観・切れ味試験は全数、撻撃試験は抜き取りで一振りを試験するものです。これに合格すると中心の銘上側に星(☆)刻印や、中心尻に番号刻印が入ります。
陸軍制式現代鍛錬刀中心
ですから、軍刀でもこの中心(表の銘の上に星(☆)、中心尻に番号(イ512))の様な刀が一番優れていると云えるのでしょう。