刀販売のお店で買う一振り

刀を好きになる事は高尚な趣味を持つことになります。
その刀を購入する人には様々な思い入れがあるでしょう。
例えば、軍装が好きで軍刀を探す人、また、居合をするので居合刀や試し斬り用の刀、或いは、何となく日本刀の魅力に惹かれて取り敢えず一振り、更に刀工銘に拘る人等様々です。

中でも、刀身そのものに魅力を感じている人はインターネットでの購入には注意をしてください。
刀は刀匠が鉄を熱して鍛え打ち作る物ですから、刀匠の技倆が刀身に現れ出来不出来となって評価されます。
一般的に気になるものが、鍛え疵です。疵の出る場所は鎬、地、刃中です。そこに鍛え割れ、ふくれ等となって醜く現れます。
また、焼刃では、刃が明るいとか、沈んでいるなどと云われたり、焼き入れの際、土が落ち刃文が崩れたり荒沸が付くなど美観を損ねるものもあります。
これらは写真画像で確認するのが難しく、事によっては故意に見難く撮影している場合もあるでしょう。

刀を購入する場合は面倒でも刀屋に足を運び現物をよく見て購入することが望ましいですね。
何振りかの刀を見せて頂き、予算も考慮しながら決めれば良いわけで、もっとも、お店の方では初めて来店されたお客さんが必ずしもその場で刀を買っていくとは思っていませんから安心して刀屋へ行ってみて下さい。きっと良い刀に巡り会うことが出来るでしょう。

日本刀販売店の日本刀オークション

日本刀オークションに刀を出品しています

昨今の刀販売の状況は、オークションによる取引が急増しています。出品者の中には刀剣業者も含まれ、出品件数も多くオークションを活発に盛り上げています。
しかし、この頃の刀の値段が下がってきている状況を見ますと、店頭販売や通販でも売れ行きが厳しさを増している中では、価格は業者間取引よりも高く売れればよしとするのであろうか、オークション落札価格と業者間取引価格が近くなっているように思われます。
今や、刀の値段はオークションが決めているとさえ思えてきます。
昔のような販売で利益を上げ、交換会で品を替えると云うことも出来なくなってくるのでしょうか。
背景には日本刀のネットオークションを専門とする業者が増えてきていることにあるようです。
業者間の競りで最高値で落札した刀は、ネットオークションで販売するしか手段が無いからです。

少子高齢化が進み、刀を購入する人口が減り、反対に手持ちの刀剣を処分する人が増えていくなかでは、業者の生き残りも大変な時代になります。
今までが、業者の利益率が高すぎたのでしょうか、業者の付ける値段は信用できないから、自らが値段を決めると云う流れもあるのでしょう。
ともあれ、品質を見極めての日本刀オークション参加が望まれます。

武州下原刀展示会Ⅲを見学

昨日、福生郷土資料室で開催中の「福生市郷土資料室特別展示・武州下原刀Ⅲ-後藤安孝コレクション-」を見学してきました。福生市郷土資料室では、過去に平成10年及び平成22年に下原刀の展示を行っており、今回はその3回目となります。また、図録未発表の刀剣を展示しているとのことです。
一般的な美術館の展示室に比べ、福生市郷土資料室の展示スペースは広くありませんが、そこに48振りの下原刀が展示してあり見応えはあります。
中でも照重作で、区送りであるにも二尺八寸を超える刀は、元に草の剣巻竜を彫り、その上に二筋樋を掻いたもので際立って立派ものでした。
また、初代の周重の作品では下原刀独特の肌が現れた地鉄もよく見ることが出来ます。
下原一派は室町時代末期から江戸時代初期に活躍していたことが分かりました。
展示は10月1日から11月17日まで行い。前期と後期があり後期の11月1日からは一部展示替えを行う予定だそうです。
会場はJR牛浜駅より徒歩で約5分の所です。

武州下原刀展Ⅲのポスター

日本刀鑑賞初心者講座

公益法人日本美術刀剣保存協会の協力団体である東京多摩支部では公益事業の一環として日本刀鑑賞の初心者向け入門講座を適時開催しています。
東京多摩支部主催の初心者講座には東京都にお住まいの方のみならず、東京都近郊にお住まいの他県からの方も多く参加されています。
講座では、テキストを使って鑑賞マナーについて学習を行い、鑑刀に際しての注意点や鑑刀の手順を学びます。その後、真剣を手に取り鑑賞の実際を体験します。このようなかたちで学んでいきます。

主催:日本美術刀剣保存協会 東京多摩支部
会場:東部会公会堂(JR立川駅南口) 立川市柴崎町2-4-22
会場となっている最寄りのJR立川駅は交通の便がよく、東京近郊からも来場しやすい場所での開催となっています。
日本刀を扱う世界は権威主義的なところがありそうに思われますが、東京多摩支部ではアットホーム的で和やかに刀剣鑑賞ができます。貴方も支部の鑑賞講座に参加してみませんか。
支部鑑賞会風景

「ザ刀剣」(東京富士美術館)を見てきました

4月8日に東京富士美術館で開催している「ザ刀剣」展を見てきました。
開催は、2016年3月29日から7月3日までで、前期と後期に別れ展示替えをするようです。
甥にせがまれ色々解説しながらの見学でしたが、8日の観客はさほど多くなくゆったりと3時間くらい見学しました。
展示品の中でも、重要文化財に指定されている古伯耆の「有綱」の太刀は素晴らしかった。
古伯耆物とは平安時代末期頃の伯耆国、現在の鳥取県にあたるわけで、この時代この地域で製作された刀剣を指します。
古伯耆物云えば、中でも「安綱」や「大原真守」などはよく見ます。それらの太刀には共通した点があり、地鉄は板目肌が肌立ち、刃文には焼落しが見られるなど特徴的です。
しかし、この展示されている「有綱」の太刀は、銘が刀銘に切っていることも特徴ですが、加えて、焼落しがないこと、地鉄が精美であることなど、「安綱」や「真守」などと比較すると、古伯耆物とは思えぬ驚きがあり、これは一見の価値があります。
(この「有綱」の太刀は、日本美術刀剣保存協会発行の機関紙「刀剣美術」四月号に、名刀鑑賞として掲載されています)
他にも色々展示されていましたが、カメラを持っていくのを忘れ、写真を撮れなかったのが残念でした。次の展示替えには忘れずカメラを持っていきたいですね。

「ザ刀剣」東京富士美術館入場券