刀剣鑑賞会の日

今日は奥多摩美術刀剣保存会の鑑賞会です。外は天気もよく杉花粉が盛んに飛び交う中での開催です。本日の参加者は14名で、段々と参加人数が少なくなっていくようで寂しいです。鑑賞会そのものもややもすればマンネリになってしまいがちです。
今日の鑑賞刀は15振りあり、特に新々刀が多く、固山宗次・宗平・加藤綱俊の天保打ち、また、左行秀の初期作(天保十一年紀)と晩年作(明治三年紀)、高橋長信の晩年作(明治3年紀)など鑑賞しましたが、晩年になると明治と云う刀の必要性が無くなっていく背景の中で作品は穏やかになり、地鉄や刃文に面白味がなくなってくるようです。
また、珍しいものでは、二王清忠の新々刀期と思われるものや、秋元昭友の豪壮な刀と、清心子正行の短刀も出ました。鑑賞会の終了後は懇親会で更に盛り上がります。

鑑賞風景 鑑賞中です
懇親会風景 刀剣談義で盛り上がります

韓国刀の拵


韓国の刀の拵えを紹介します。
この画像に見る拵えは、日本刀の太刀拵と打刀拵の折衷を模したような造りをしていますが、日本刀の拵えに見る鞘の塗りや金物の彫刻など芸術性が感じられません。実用本位であるためでしょうか、粗末で品位に欠ける拵えと云えます。
この拵えを見る限りでは日本刀の拵えを参考にしていることが窺い知れますので、もっと細部を拡大して見ていきましょう。

韓国剣拵全景

拵え全長:87cm
柄長:17.6cm
金具:総真鍮製
鞘:黒塗り

柄部拡大画像

柄は日本の打刀の柄巻である捻り巻を真似たようですが、柄には鮫革ではなく短冊の革を貼り、目貫を据えず柄巻きは革を捻り巻にしています。しかし、菱を作る為の巻き方では捻りの上下の交差が不順で統一性がなく、美意識がなく巻き方が雑のようです。

柄長は短く片手で握るようになっています。
また、口金物は真鍮製で真鍮の釘一本で固定している。

柄上部画像

冑金に相当する金物は彫物や象嵌はありません。ただ、素赤を切り抜き張り合わせているようです。

柄頭部画像

足金物と山形金物に相当する金物は鋲で止めいて簡単に出来ています。

足金物側面画像
足金物上部画像

石突金物に相当する金具は真鍮製で、表裏に真鍮釘2本づつで留めています。

鐺側面画像
鐺上部画像

鍔は日本の打刀拵に付くものに似ていて、真鍮地に唐草文でです。耳は土手耳になっています。しかし、切羽を使用したか分かりませんが日本の鍔に見る切羽台はありません。

鍔正面画像

鍔斜面画像

こうして見ると、この拵えは明らかに日本刀の拵えを参考にして製作されたものであることが分かります。そこには文化の違いが現れており、日本が韓国の拵えを真似したなどと云うことは当たらないことが云えます。また、これは逆で、韓国が日本の拵えを真似したように思われます。

呑み仲間の刀剣鑑賞会

先日、久々に現代刀匠を含む気の合う仲間七人で刀剣を持ち寄り鑑賞会を行いました。この日は風が強く、五日市線では電車の走行中に飛翔物が当たり一時停車したので、小生のみ会場に遅刻してしまった次第でした。
会場では皆さん名刀を持参し、既に刀が並んでいました。その内容はと云えば、河内守国助の脇差で、匂口締まり心の蛙子丁子乱れが美しいく、他の丁子乱れの刀では、固山宗次、左行秀、加藤綱俊があり、行秀は細川正義系に学んでおり、天保十一年紀は年紀のある物では最古だそうで資料的にも貴重なものです。
また、綱俊の刀は過去に刀剣美術誌の誌上鑑定に使われたもので、その刃取りは約10cmの等間隔で同じ刃文を繰り返し繋げており、門人の固山宗次にも同じ刃取りが見られる処も頷ける処です。
さらに月山貞一、月山貞勝の短刀を一回目に鑑賞しました。
次ぎに入れ替えて、長船康光の脇差、堀川国広の刀、津田助広の脇差、玉心斎正蔭の脇差、佐々木一峯の刀等、また、助広・国広・一峯は直刃で、その比較鑑賞もよかった。助広の直刃天下一品ですね。
各自持参刀のうんちくを述べ名品振りをアピールした次第でまあ有意義な鑑賞会でした。
終了後は場所を変えていつもの飲み助になり和気藹々で盛り上がり、大事な刀を置き忘れないよう半分正気を残し電車で帰宅しました。

刀剣会の活動

昨今、各自治体で文化祭が催されることが多くありますが、先週、東京青梅市で行われた青梅市総合文化祭でも、地元の奥多摩美術刀剣保存会で刀剣・刀装具展示会を行っていました。会場には警備のガードマンを配置するなど、警備にもしっかりした体制でもあり、多くの来場者で盛況です。
また、会員による「刀剣の見方」の講習会もあり、約20名程が参加し充実した内容でした。
そうした中、一人のご婦人が刀を持参し、主人が遺した刀と言って会員の方に見てもらっていましたが、重要刀剣に指定された名刀のようでした。こうした方は多くいるでしょうが、ややもすれば刀剣を粗末に扱ってしまうことが懸念されます。
刀が好きだと言う方でも、刀剣会などには所属せず、一人で楽しんでいる方々もいるでしょう。そうした所謂、個と個が繋がっていくことで広がるような刀剣会の活動が今後の発展のカギとなるのでしょう。単に勧誘するだけでなく、地域に根ざした人との繋がりを大切する行動が会員一人一人に求められるのでしょう。

頑張れ少年剣士

先日、都心より父母同伴の少年が来店してくれました。少年は土方歳蔵ファンの中学生で、現在居合の稽古をしているとのことです。愛用の居合刀も土方歳蔵の刀を模したものを使用していると言っていました。是非行ってみた所が土方歳蔵資料館で、もう一つがホームページで見た当店であると言い、先に当店を訪問してくれました。実に嬉しい限りです。今は居合用の模造刀ですが、将来は真剣を持ちたいと言っていました。

テレビは若者への影響力が強く、時代劇放映などはヒーローが活躍するたちまわりが刀剣への興味を持たせる大きな効果があるでしょう。若者の感性を刺激させる時代劇を多く制作してくれることを願っています。これが若者を刀剣愛好家へと育てることに役立つでしょう。

武道の中に剣道と居合道がありますが、一般的に日本刀に、より親しむ方が多いのは居合を為されている方であるように思われます。
昨今は日本刀への感心も高まりつつある状況ですが、未来を託せる若者が居ることに、大いに明るい気持ちが持てた一日でした。
少年達よ居合に頑張れ!