最近の日本刀愛好家

近年、ゲームから始まった刀剣ブームは女子たちの間で熱くなっている現象が見られ、業界としても喜ばしいことです。
思い起こせば私の若い頃の刀剣熱は、少ない予算でより上位作を求め、拵え(外装)には余り興味が無く刀身のみを追いかけていました。拵えに出すお金があれば、その分上位の刀へとお金をかけるもので、拵えには目もくれないところがありました。
ところが、最近の日本刀の売れ筋を見ますと、拵え付のものがよく売れて、白鞘のみのものは敬遠されがちのようです。特に脇差に至っては拵えが付いてないと仲々売れないようで、所謂刀好きと云われる人達の間に変化が出ているように思います。
この現象は、刀身よりも外装に拘りを持つことで、日本刀を武具として捉えるより、寧ろ武家文化に興味を抱いているのではないかと考えます。言い換えれば、刀身に興味を持つ人を”侍”、いわば武士の精神・魂とでも云いましょうか、それに対して拵え(外装)に興味を持つ人達は、武士時代の文化が好きと云う、”町人”と云った感じでしょうか。近年は侍が少なくなってきたように思えてなりません。

旧海軍太刀拵

芸術の秋・スポーツの秋

夏の暑さも過ぎ、夜の深まる季節です。今宵も名刀との対話に更ける一時を楽しみますか。
秋ともなれば、多くの方が芸術に感心を持たれます。美術館や博物館へ出かける機会も多くなることでしょう。刀剣に関しても同様でしょうが、文化財保護の観点からも多くの方に一振りでも日本刀を所有して頂き後世に繋いで頂きたいと願っており、刀剣販売でそのお手伝いをさせて頂いております。

また、スポーツの秋でもあり、近年自転車でのサイクリングが活発に行われています。土日祝日ともなればレーサーパンツ姿のロードバイクが快走する光景が溢れています。
小生もマウンテンバイクを転がしていて、片道17km標高差210mを50分位で走行しています。行程は上り坂のみではなく、坂道を上りきったら少し下り坂があり、また上り坂、そして少しの下り坂との連続で上っていきます。ゴール地点からは急な上り坂となり、その先もずーと上り坂で、ここを行く人は健脚でないと難しいです。私の場合は、いわば序の口のコースですが、その間に何台の自転車に追い抜かれることか、老若男女が入り交じりロードレースの様相を呈しています。
ともあれ、健康が第一。刀剣三昧で楽しい人生を過ごしていきたいものです。

スタート地点:標高190mスタート地点の風景

休息中休憩中です

ゴール地点:標高400mゴール地点の風景

大小一腰の見極め

日本刀の拵えは、武士の表道具として鍔・縁・頭など金具の意匠や鞘の塗りなどを凝らした作があり、大変美しいものです。しかし、鍔などは単品でも愛好者が多く存在するため、鍔の作者が著名であったり意匠が良かったりすると、拵えの鍔を入れ替えてしまうことがあります。縁・頭と鍔との意匠が一致しているか見極めが肝要です。
また、大小拵に刀身がある場合ですが、稀に拵えに合う刀や脇差を探して入れる所謂合わせ物があるので注意が必要です。大事なことは、生ぶの大小一腰であれば刀と脇差の登録証番号は連番であるのが一般的です。
ですから、例え刀と脇差の作者が同一人であっても登録証を発行した都道府県や、交付年月日がバラバラであれば、まず合わせ物と見て間違いないく注意が必要です。
大小一腰を購入する場合は、必ず刀と脇差の登録証が連番であるか確認しましょう。

軍刀と云えば陸軍制式現代鍛錬刀

軍刀と云うと陸軍の軍刀を一般的にイメージすることでしょう。
折れず曲がらず良く斬れる日本刀と云えども、刀は手作りであり、刀匠によって鍛えの方法も若干違いがあることでしょう。しかし、軍が使用するとなると刀の品質、所謂切れ味や強度に刀や刀匠毎にバラツキがあっては問題となります。

軍刀には古式の本鍛錬刀から素延刀までありその品質は一様ではありません。また、販売に於いても陸軍造兵廠へ納入するものや、一般に市販されるものもあります。

陸軍受命刀匠とは、各刀工が日本刀を二振り製作し、それを陸軍造兵廠へ送り特殊試験を受け、それに合格すれば陸軍受命刀匠の認定を受けられる訳です。この金看板が有ると無いでは販売において大きな影響があることでしょう。
しかし、この陸軍受命刀匠に合格したと云っても、チャンピオン品二振りを作り提出すればよいわけですから、数多く作刀する中でその品質を保ち続けることに心配が残ります。

要するに、軍刀と云っても優秀な刀もあれば質の悪い刀もあることです。
そこで一定の品質を保った軍刀となると、陸軍造兵廠へ納入し、試験に合格した刀となるのです。所謂、陸軍制式現代鍛錬刀なるものです。
この場合、中心の仕立ても制約があり、表に作者の銘、裏に年紀を必ずいれます。
試験では、外観・切れ味試験は全数、撻撃試験は抜き取りで一振りを試験するものです。これに合格すると中心の銘上側に星(☆)刻印や、中心尻に番号刻印が入ります。
陸軍制式現代鍛錬刀中心
ですから、軍刀でもこの中心(表の銘の上に星(☆)、中心尻に番号(イ512))の様な刀が一番優れていると云えるのでしょう。

初めての日本刀は脇差がお勧め

小生は日本刀のことは何故か幼い頃から好きだった記憶がありますが、初めて日本刀を購入したのは昭和58年のことで、刀は欲しいが何を買ったら良いのか分からずで、結局店主に勧められ購入のが初代河内大掾正広の脇差でした。その後、専門的な知識はありませんでしたが、銘字の「廣」で代別が分かるなどと正広について本を読んで勉強したものでした。

脇差は何と云っても刀の三分の一程度の価格で安いのが一番です。
日本刀について勉強しようと思ったら、方法は色々あると思いますが信頼できる物即ち、日本美術刀剣保存協会発行の「特別保存刀剣鑑定書」の付いた物が良いでしょう(特別保存刀剣の多くは著名な刀工であり、刀工大鑑などに所載されています)。
まずは一振り購入します。それを足がかりとして、その刀工の時代背景や作風、中心の仕立てなどを学び、師や弟子筋なども合わせて勉強して行くことが良いのではないでしょうか。
脇差:相州鎌倉住立花国秀鍛之